自然とともに生きる、ここちよい環境を目指します
「モエレ沼公園ガラスのピラミッド」アーキテクトファイブ・横河JV
省エネルギーという考えはすでに私たちの暮らしに浸透し、自然の持つ力を活かす技術は日々進化しています。自然の持つ力とは、単に太陽光発電などの自然エネルギーの利用という面だけではありません。建築の中で人と自然とのふれあいを広げていくことも快適な環境を創造する手段として有効です。一方、施設用途によっては室内環境のコントロールやプライバシーの確保が必要となり、自然に対しオープンであることが難しいケースもあります。
与えられた条件のもと、いかに自然の恵みを活かし自然とのふれあいを広げるか。そして自然から享受するだけでなく自然を壊さない建築とするか。取り巻く様々な要素を取り込んだ「パッシブデザイン(自然との接点を最大限に広げるための建築的工夫)」と「アクティブデザイン(室内環境をコントロールする設備的工夫)」のベストバランスを実現したいと考えています。綿密な「分析・検証」と豊富な「経験・技術」をもとに、安心・安全で利用しやすい建物を目指していきます。
冬の厳しい気候に対して、外壁の外断熱工法や青森ヒバの木アルミ複合断熱サッシを採用し熱負荷の低減を行っています。また、地中熱による無散水融雪設備や森林資源を有効利用したペレットボイラーなど、その地域ならではの自然エネルギーを活用しています。
この地域は那須連山が作り出す豊かで質のいい地下水に恵まれています。那須赤十字病院では、この地下水の熱を利用した高効率な空調システムを採用し、給湯・冷温水(空調用)の熱を得ています。これは本院における空調熱源の50%近くをまかなうものであり、地下水熱を利用した空調システムとしては日本トップレベルの規模です。
また、地下水からは熱のみを回収し、利用後の水は同じ水脈へ戻すことで、自然環境への影響を最小限にとどめ、恵みを享受するだけではなく、美しい那須の自然と共存するシステムとしました。本院は病院建築として初めてCASBEE Sランク認証を取得し、優良なサステナブル建築として評価されました。
「井」型の病棟形態を採用し、自然通風・自然採光を積極的に取り入れる計画としています。雨水を地下ピットに貯留して流出を抑制するとともにトイレ洗浄水利用し水資源の節水を行っています。高効率の熱源機を採用し、夜間の余剰な電力を有効活用する蓄熱システムを採用しています。
神奈川県横浜市に新設された本院では都市部ならではの環境配慮型病院として、都市ガス利用のコジェネレーションシステム採用し、エネルギー利用の総合効率を高めています。排熱利用や高効率な熱源機を電気とガスのエネルギーを組み合わせてベストミックスシステムとしています。