PROJECT STORY 01

コミュニケーションと創造性を育む環境をめざして

千葉工業大学津田沼キャンパス再開発

2011年3月「1号館」が完成し、2006年以来5年をかけて進められた津田沼キャンパス再開発計画が完結しました。
第Ⅰ期として2008年8月に「2号館」が完成し、第Ⅱ期として2010年3月に先行して完成した新学生ホール棟「3号館」に続いての完成でした。
本再開発事業を通じて、当時の大学の建学の精神である「師弟同行」「自学自立」(※現在は「世界文化に技術で貢献する」)を踏まえ、コミュニケーションの活性化と創造性を育む環境づくりをめざしました。

キャンパス全体図(2011年当時)

01_都市型キャンパス“Techno City”

千葉工業大学津田沼キャンパスは、新学科創設等学科再編成に伴う施設拡充及び、既存建物の老朽化のため、2006年から5ヵ年にわたる再開発計画が進められました。工学の未来を標榜する都市型のキャンパス“Techno City”として主要な建物3棟と周囲のランドスケープを再構築することにより、キャンパス全体の活性化とイメージの刷新、教育・研究環境の充実が求められました。
計画にあたっては大学の建学の精神である「師弟同行」「自学自立」の基、先進の技術を用いるも、“人”を中心としたコミュニケーションを意識し、創造性豊かな学生の育成を図る環境づくりを行っていきました。

02_新たなランドマークとなるツインタワー構想

計画地はJR津田沼駅南口より新設されたペデストリアンデッキで直結する恵まれた立地にあります。津田沼駅南口周辺は商業・住宅等の複合的な再開発が今現在も進んでいます。そのまちづくりに先駆けて、本計画は完成を迎えました。地域のリーダーとしての役割を担い、まちの新たなランドマークとなることを意識した結果、『ツインタワー構想』が誕生しました。
加えて計画地は駅前でありながら第1種住居地域です。各種斜線制限や日影規制などの、厳しい敷地条件のなかでの計画となりました。超高層の建物とすることや、求められる施設ボリューム、キャンパス内の広場の確保、既存建物との隣棟間隔等を加味しながら、敷地の諸条件を満たす配置を慎重に決定していきました。

  • 計画前の配置
  • 計画後の配置
キャンパスガーデンBL

03_緑豊かな風景を継承した
新たなキャンパス空間を再構築

既設キャンパス内では、並木や樹木等緑の豊かさが印象的で落ち着きのある風景を形成していました。これらの雰囲気を継承し、計画建物との調和のなかで更なる活用を図りました。
1号館、2号館を高層化することで、敷地内にまとまったオープンスペースを確保します。さらに、1号館の東側に生まれた空間は、キャンパスガーデンとして既設のプラザと融合させ、新たな学生の交流の場・憩いの場を提供しています。また、1号館西側には正門から6号館・2号館へのゆったりとしたアプローチ空間を確保しました。
食堂・購買が入る3号館は、日常生活において利用しやすい配置をこころがけました。
キャンパス内の中心動線であるキャンパス通り、交流・憩いの中心であるプラザに面して配置することで、他学科の学生や教員との様々なコミュニケーションを生み出す計画としました。また、並木やプラザの緑を建物内への景観として採り込むことが可能となりました。

1号館

04_建物のデザインと構成

ツインタワー(1号館、2号館)の外観は重厚感のある御影石とし、大学としての風格を表現しています。縦ラインを基調とした伸びやかなデザインとし、歩行者の目線に近い低層部は基壇として扱い、彫りの深い安定感のある表情としました。西側の主要道路に面して、シースルーエレベータを配置し、建物内の動きが外部へと表出する計画としています。
建物構成は、低層階に学生実験室を配し、基準階に各学科スペースを配しました。最上階には東京湾や富士山が一望できる展望ラウンジを設け、憩いの場やセレモニー等イベントの場として利用が可能です。
ツインタワーの石張による外観に対して、3号館はガラス面の多い外観とし、軽快感や開放感を高め、学生の憩いの場となるアメニティ施設として、入りやすい施設づくりを目指しました。
大人数が利用する食堂を1階に配し、2階に購買とラウンジ・テラス等学生の憩いの場を確保しました。

  • 2号館
  • 3号館
屋上庭園

大学施設として省エネルギーに配慮した計画としています。自然エネルギーを利用した太陽光発電、井水・雨水利用、自然換気システムを組み込んだカーテンウォールを採用しました。熱負荷を軽減する熱線吸収ガラス、屋上庭園や消費電力を軽減するLED照明、人感センサーを採用しました。その他トップランナー方式による設備機器の選定はもちろん、全熱交換機、高効率熱源設備、冷温水の変流量制御、大温度差による搬送動力の低減、節水型衛生器具の採用等、エコキャンパスへの取組みを積極的に行っています。

  • キャンパス全体(2011年当時)